最悪/最高

悪いことばかり起きているような気分になってしまうけど、きっと本当はそんなことはなくて、わたしの気持ちが悪いことにばかり引っ張られているから、落ちていたり降ってきたりした良いことに気がつけないというのが正しいんだろう。嫌なこともうんざりすることも辛いことも悲しいこともあるけれど、わたしは自分にとって何が最悪かを知っている。だからそういうことの全部を最悪と比較して、「こんなのたいしたことはない」と言い聞かせてやり過ごすことができている。何が最悪かということを、あらかじめ知っていることは、そういう意味で言えば便利と言えば便利なのだけれども、まだ起きていない、起こるかどうかもわからないそのことが、常に心の片隅にあるというのはなかなか恐ろしいことでもある。
何が自分にとって最悪かということは知っているけれど、何が最高かということは、起きてみないとわからない気がする。よろこびは予見できてしまうと、たぶん擦り減るものだから。