中山競馬場/200円

秋競馬がはじまったので、開幕初日の中山競馬場へ。

 

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お天気も良くてビールが美味しい。

中山競馬場には子どもの頃から父に連れられよく来ていた。

競馬場、かつてはそりゃもうとんでもなく広く感じたものだった。当時は「ここではぐれたが最後、今生の別れ」くらいの緊張感が心の隅に常にあったような気がする。妹も一緒だったので、わたしは絶対に妹ともはぐれないようにしないといけないと思っていた。お姉ちゃんだから。

大袈裟だと言われても、十にも満たない歳の頃だったわたしには妥当な緊張感であったように思う。競馬場という施設自体、今みたいにクリーンでもなかったし、若い人たちもそんなに多くはなくて、煙草をそこらじゅうでプカプカしながら新聞を睨んでるおじさん達があっちにもこっちにも、レースが始まればそこかしこから飛ぶほとんど怒号のような声援、足元には靴で踏みつけられたハズレ馬券が散乱…みたいな、普段は到底目にしないような光景の広がる、どこか混沌とした場所だったのだから。

それでもわたしは昔から、競馬場の大きくひらけた空とか、瑞々しい緑の芝生とか、鍛え磨かれた美しい肢体を持つ馬と、その力強い蹄音とか、そういうのが好きだった。いつもは買ってもらえないようなジャンクフードを売店で買ってもらえるのも嬉しかったし、新聞に並んだ馬の名前はどれも風変わりで面白かった。一緒に行った父の友人たちも幼いわたしたちに良くしてくれたし、競馬場にはいい思い出しかない。だからなのか今でも競馬場でのんびりするのがとても好き。最近はJRAのイメージアップ戦略も功を奏して、昔よりずっとカジュアルな場所になりつつある競馬場。開幕したばかりの中山競馬場には家族連れや若い人たちも多くて、特に日曜日はよく賑わっていた。そりゃそうだ。だって200円の入場料で、こんなに広い空の下、美しい馬が走るのを見ながら、冷えたビールが飲めるなんて最高じゃないか。

土曜日も日曜日も、もう終わってしまったのかと思った夏が戻ってきたような気温。これで本当におしまいかな?

サヨナラサマー、また来年。