朝/7・11

血圧が低いので朝に弱い。かといって夜に強いわけでもないけれど、如何せん朝は何をするにも億劫で仕方がない。起き抜けは食欲もないし、でも家を出るぎりぎりまで眠っていたいから、平日はたいてい何も食べずに出かけることになる。

何も食べないかわりに飲み物だけ飲む。余裕があるときは白湯を沸かして飲むけど、慌てているときは水。それから同じコップに甘酒と豆乳を入れて混ぜてから飲む。豆乳はたまに飲むヨーグルトに変わることもある。単純に味が好きなのと、何となく栄養がありそうなのと、あと簡単にお腹に入れられるから、ここ一年ほどわたしの朝の定番になっている。コーヒーは職場についてから飲むから家では飲まない。セブンイレブンのコーヒーは美味しい。アイスの方が好きだけど、ホットもまあまあいけると思う。

コーヒーのにおいをかぐと、学生時代のアルバイトを思いだす。喫茶店。平日の雨の昼間なんかは暇なことも多くて、そういうときはフィルターを折ったり、おしぼりの補充をしたり、カップの漂白をしたり、陳列棚に置かれた豆の袋の空気抜きをしたりしていた。豆の袋の空気抜きをするときは、その匂いをかぎたくて思いきり息を吸い込んだ。そのたびに、うっとりとした気持ちになった。店長は口数が少ない人だったから、二人で店番のときはたいがいどちらも黙りこくって、雨の音だけが聞こえていた。わたしは雨の日のそういう店番がとても好きだった。

今の職場も沈黙の時間がほとんどだけれど、あのときとは空気が全く違うから、沈黙といっても色々だなと思う。今の職場で大きく息を吸いこむのは、そうでもしないと呼吸がうまくできないときだ。

あの店があった場所には、今はセブンイレブンが建っている。