チキンドリア/幽霊の夜

東京にも雪がつもった昨日、昼過ぎには退勤して、まだ空いている電車に乗った。十四時くらい、雪が激しくなりはじめた頃だった。自宅のある駅まで帰って、家のそばのカフェで熱いレモネードを飲んだ。体調の関係で、年末からカフェインを極力摂らないようにしている。コーヒー、大好きなので我慢できずに飲んでしまうこともある。今日はもう帰宅するだけだし、と一瞬迷ったけれど、こんな天気の日に飲んだら絶対に危ないと思い自制する。レモネードは甘くておいしかった。

 

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家の前の路。まだ雪がつもり始めたころ。大雪になる前にと、みんなが慌てて帰宅しているのを映すみたいな足跡がおかしかった。遠目から見ると魚の群れが上っていく小川の絵みたい。

 

 

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夕方にはほとんど吹雪くみたいに降っていた。夕焼けの色も雪の白さでわからない。

写真を撮ればよかったと心底後悔したけれど、真夜中にそっとカーテンを開けて見た、しんしんと雪のふりつもる、真っ白な街の景色はとてつもなく綺麗だった。あかるく静かで、こわいくらいだった。もしも幽霊が出るのなら、きっとこんな晩なんじゃないかと思った。

 

 

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夕飯にはホワイトソースをたっぷり作り、チキンドリアを拵えた。ホワイトソースは小分けにして冷凍しておくと便利。

むかし聞いた歌で、歌詞の中にドリア(チキンでなくてエビだったけど)が出てくる歌があり、わたしはそれをなぜかずっと雪の日の歌と記憶していて、だからか雪が降るとむしょうにドリアが食べたくなる。でも去年だったか一昨年だったか、ふと思い出してその歌を聞いてみたら、全然雪なんて出てこなくて驚いた。別段好きな歌というわけでもなかったし、歌っているのも好きなバンドというわけでもなかったから今まで聞き返すことがなかったけれど、いったいどうして雪とこの歌をわたしは結び付けたんだろう。

 

 

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今朝。そうそう、これが東京の雪。この世ならざる景色はたったの一夜、明ければひどく現実的な日常が、当たり前の顔をしてやってくる。