十四の秋

秋はさびしいから嫌いだと彼女が言ったとき、私はそれが嘘だとすぐにわかった。もう冬服に変わっていた冴えない制服を少しでもましに見せようと、短く折ったスカートでもたついた腰回りと緩めたネクタイと第二まであけたボタンと背中に背負ったサブバックが滑稽だった私たちは、同じ色のついたリップクリームを塗っていた。細くした眉毛の下、二重まぶたに生えたまつ毛の先を見つめるように、彼女は上手に黄昏を演じて見せる。薄い唇が好きだった。薄くてきれいな形の唇が、わざとらしく持ち上ったり下がったり、歪んだりするのをずっと見つめていたかった。どこかで聞いたことのある軽薄な言葉や流行りの歌詞のような安っぽい憂鬱がそこからこぼれて、それが陳腐であればあるほどにぞくぞくした。「そう思わない?」と訊かれた私は、何の迷いもなく「そうだね」と答える。踏みつけられた枯れ葉が音を立て、足を離すと千切れてばらばらになっている。幾度かそれを繰り返し、私たちはまた明日ねと手を振り合う。