山菜/去年の梅酒

春の食べ物といえば山菜。ギョウジャニンニク、ふきのとう、ノビル、タラの芽、せり、あさつき、ウドやうるいなんかも、この時期はちょっと大きいスーパーマーケットへ行けば手に入る。だけど陳列棚にパッキングされて置かれたそれらは、ほんのちょっとの量で結構な値段がするものだから、手に取るのをつい躊躇してしまう。山菜といえば、祖母の家の裏の山では春になるとわらびがたくさん採れた。食べることよりも採ることが楽しくて、春休みに滞在していたときは朝な夕な散策に出かけて、ビニール袋いっぱいにわらびを採った。地面からまっすぐ凛々しく生えているくせに、先っぽだけが奇妙に丸まった不思議な山菜。一晩しっかりあく抜きをして、おひたしにして食べるのが定番だった。

祖母は今年中に上京してくる予定で、だからそれにあわせてあの家も処分してしまう。思い出は場所に作られるけど、思い出が根ざすのは場所ではなくて人の中なので、さびしがることはない。わかってはいるけれど、やっぱり少しだけさびしい。こんなエゴイスティックな感傷は、誰に言えるはずもないけれど。

 

 

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すこし前になるけれど、桃の節句に食べた桜餅。これは道明寺。道明寺も長命寺もどちらも好きなので、どちらを買うべきか毎年逡巡してしまう。そしてたいていの場合どちらも買う。写真を撮ったときには長命寺はすでに胃袋の中だった。

 

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この写真は桃の節句よりさらに一週間ほど前のもの。去年漬けた梅酒が良い感じになってきて、ちょこちょこ飲み始めている。梅の実も下処理をしっかりやった甲斐あって、ぷりぷりで美味しい。かるく冷凍して、シャーベットみたいになったのを食べるのも好き。

来月から二人暮らしになるので、今年はもっとたくさん漬けようと思う。