映画/高笑い

AMAZONプライムビデオで『ココ・アヴァン・シャネル』(2009)を観た。

オドレイ・トトゥのくせのある顔立ちと力強い瞳が好きなので、何の気なしに観たんだけれど、数カ月前にたまたま観た『サガン -悲しみよ こんにちは-』(2008)という映画とよく似た感想を持ったので、忘れないうちに書いておくことにした。

どちらもいわゆる成功者である女性の物語。二人とも才能があって、野心もあって、成功して、愛してくれる人がいて、なのにいつも孤独、心から幸せになれない。

映画自体はどちらも良くできていて面白かったけど、何となく、観たあと心がもやっとしてしまった。

実話ベースだから仕方がない部分もあるけれど、この手の話は正直食傷気味なのだ。どれだけ成功して富や名声を得てもその一方で孤独、仕事で満たされても私生活では満たされない、みたいな紋切り型はもううんざり。結局のところ、それはわたしたちが成功者に対して、「そうあってほしい」と望んでいるだけなんじゃないだろうか。どんなに華やかに見えても、どんなに成功しても、その裏にそういう「物語」があってほしいという欲求を満たすこういう映画は、だから後を絶たない。小説だってそう。何ならただの噂話やゴシップだって、そういう欲求を満たすためにあるとも言える。わたしたちは「物語」が大好きだから。悲しい哉、そういう「物語」のエッセンスを加えた方が、「作品」はわかり易く完成されたものになる。

野心があって頑張って、成功した女も男も、みんなめちゃくちゃ幸せになってほしい。めちゃくちゃ幸せになって、高笑いを聞かせてくれよ。